てっぺん

9時に鳴った目覚まし時計を軽く止め、再度目を覚ましたのは12時。今にも雨が降りそうな曇り空。
飯を食い一服、昨日用意しておいたリュックをチラ見。あぁ今日もだら〜っと過ごしたい。やっぱりおてんと様に誘われる形で出て行きたいなあ。と言うか今から行って頂上着くの何時になるんだろう。
5分悩み、途中までで良いからとりあえず行ってみようか。と言うことでしぶしぶリュックを背負った。のだが、自分でも驚いたが外に出た途端にわくわくし出し、最寄の駅に着く頃には富士山の頂上を想像していた。
「富士山に登りたいんですけど」
駅の緑の窓口の青年はこのアホな質問に慌てだす。僕は静岡県民でさらに旅行関係にたずさわる者なら即答できるものだと思っていた。青年は厚めの時刻表をパラパラ捲り悩み、しまいには先輩2人を加えて相談会が始まる。ここはすっと通る予定だったんだが、、、
御殿場に着いたのは4時。空はもううっすら暗い。とりあえず誰かに聞こう。バスターミナルの窓口に行く。
「今日はもうないよ、9時と1時の2本だけなの」
と僕の夢と希望を打ち砕く平野レミ似のおばちゃん。
「まじすか、、他に行く方法ってあります?」
「あとはタクシーだね、でも1万くらい取るよ」
「そうすか、、、わかりました、ありがとうございました」
①帰る
②どこかに泊まって明日行く
③とりあえず市内を見てみる
サン。静岡全域なのか全国的なのか、掛川でも祭りをやっていたが、ここ御殿場にも道路を走るみこしとそれを囲んで進むテンションの高いハッピ姿の人々。そのあとをついて行くことにした。屋台がないのが寂しいな。と思いながら歩いてると、道路を走るバス。あ、これだ。
再び駅前のバス窓口へ。暇そうにテレビを見ながらバスの無線連絡とお客さんを待つレミさん。
彼女は須走五合目手前の須走浅間神社までなら5時のバスで行け、そこからタクシーでなら3千円くらいだと、さらに須走五合目には山小屋があり、6千円位で一泊できると教えてくれた。お礼を言い、言われた番号のバス停でバスを待っていると、後ろからレミ氏。
「タクシー予約した?しといたほうが良いよ、ちょっと窓口に回って」「はい」
「あ、山小屋空いてるか一応聞いてみようか?」「はい、すみませんお願いします」
山小屋の主と電話で話すレミ氏の会話から「吹雪?」「じゃあもう閉めておりちゃうの?」と。
落ち込む僕に改めて、「吹雪になってて一人ではとても危険、山小屋も閉めちゃう」と説明をくれたレミ氏、「色々ありがとうございました」と外に出る僕に「行っちゃだめだよ」と念をおした。
「出直します」